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Channel: しんの世界(盆裁日記)
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針金の力2

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今夜ご紹介するのは四国五葉松の産地、石鎚山から赤石山の麓の愛好家が長らく愛培されていた樹です。

広大な敷地に五葉松、真柏、黒松、赤松、楓、山もみじなどを多数お持ちでしたが体調を崩され
愛樹に思いを残されながら旅立たれ、全ての盆栽と鉢、骨董品が売り立られ全国の業者さんらに引き取られていきました。

有名な樹も多数ありましたが闘病生活が長く、またあまりにも沢山あったため、この樹の様にご購入された時の姿からかなり乱れてしまった樹もありました。



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正面

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右側面

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裏面

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左側面





            ではまず明らかに使えない枝と枯れた枝葉を落とすところから始めましょう

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勢いが強すぎて全体の樹勢のバランスを崩すので切除します

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こんなに余分なものがついていました。

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これだけでも何かすっきりしましたね





                            次に

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もうずいぶん暖かくなっていて樹皮が浮きやすくなっていたので強く曲げる枝を
          ラフィアで保護します。

          
          ラフィアを巻きながら詳細に観察し樹形を正面を検討しましたが
          この樹の正面と樹形を決めるポイントはこの足元から伸びている、双幹のような枝を
          どうするのか決めないと先に進めません。
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                        今の正面から見ると真後ろから生えていて幹としては使えないので真っ先に「要らない」と
          思ったのですがこれもこの樹の個性なのであえて使ってみても面白いかなと…




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この辺で見ると足元も自然になって全体に優しい感じいなりませんか?
                      他の枝とのバランスは針金の力で何とでもなりますが
          でもやはり生え際は幹の後ろのままなので写真ではよさそうでも
          実物をみるとやはり不自然に感じます。  

          なので
                        




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                やっぱりこうなしました。
         
          幹に比べると幹肌も若くて切断しても支障がない枝なので最初からばっさり切る
          つもりではありましたが 
          故人が愛したこの樹の一部だった枝なので
          なぜ今まで残していたんだろうとか。この樹にどんな思いで水やりして来たんだろうとか
          いろいろなことを考えます。

  
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             切り残した枝をジンにします。



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          左側の古いジンもノミ跡が残っていたので削り直し下枝から整えていきます


              
    

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          やっぱり水上げが盛んになる時期なので曲げた部分の樹皮が浮きやすくなっていますね



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              左下枝を下げ


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              後ろ枝を広げて

 

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              右の中間枝まで荒掛けしましたがその上の頭部が二股状態ですね




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             二股の後ろ側の枝先が強すぎるので


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            さっぱり切ってしまいましょう。




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左側面
二股の先は切り詰めましたがどちらが天かわからないままですね



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右側面
二股の後ろ枝を「枝」らしくします。



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                正面
                頭部がすっきりしてきました。
                全体の姿が決まったので下枝から整えていきましょう!




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正面 


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右側面



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裏面

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左側面
中間部までできたので後は上部です。
一気に仕上げてしまいましょう




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正面



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右側面


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                             裏面


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                      左側面


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少し左側で見てもバランスがいいでしょう
             中間部の枝の出方は閂状でですが抜くのは作が乗ってからですね
             なのでこれも仮の姿です。
             
             それでは整姿前と仕上がりの姿を見てみましょう。


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正面



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右側面


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裏面


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左側面


ということで今回の最終形が次の画像です。



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樹高65㎝


           新たな愛好者様の棚に旅立ちです。



           では今夜は… と、もう明るくなってます!
           それではまた次回をお楽しみに~ (^。)
           

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